街森研究所

街や森で出会った木々や生き物、出来事などを紹介しています

Bonin Islands;小笠原の海

ミナミハンドウイルカ


小笠原は太平洋にぽつりと浮かぶ孤島だが、それは陸に住む生物には大きな意味を持つものの、海という観点では沖縄とも本州とも繋がっているわけで、特別孤立しているわけでないようだ。それは、陸の生物に比べると海の生物に固有種が少ないことで分かる。

12月の海。昨日の夕方に、宮之浜でシュノーケリングをしてみた。日も傾いた午後3時過ぎであったが、ウェットスーツを着ずに水着と長袖Tシャツでチャンレンジしてみると、意外といけた。少し寒さは感じるけど、水中で見慣れた熱帯魚たちに出会うと、「やあ君たちもこの水温で泳いでるのかぁ」と励みになるから、寒さを少し忘れられる。で、小笠原ならではの魚といえば、なんといってもユウゼンだ。伊豆諸島の八丈島にもいるから、小笠原の固有種というわけではないが、このエリアでしか見られない貴重なチョウチョウウオだ。昨日と今日でシュノーケリングは2回やったが、サンゴ礁域は比較的魚種も豊富できれいである。私は物心ついた頃からの魚好きで、いつも魚を見るために海に潜っていたが、ここ数年は陸の散策が中心となってしまったので、魚の名前も忘れ気味だ。でも、何となく好きなチョウチョウウオの仲間ぐらいはすぐ思い出せる。写真で見る通りの美しいユウゼンのペアにも出会うことができ、とりあえずは満足だ。

そしてメインイベントとして、ドルフィンスイムにも初挑戦した。野生のミナミハンドウイルカとシュノーケリングができるのだから、それは楽しみにしていた。ボートで父島の周りを探すこと4時間、ようやく10頭前後の親子連れミナミハンドウイルカの群に出会えた。野生のイルカを見るのは初めてだ。体長2m強、プハー、プハーと息継ぎする声に親しみを感じる。大型の水中動物と一緒に泳ぐことに、若干の恐怖心もあるのではと思ったが、海中でのイルカの姿にまったく違和感はなく、意外なほど自然に接することができた。水深20mぐらいある場所だったが、比較的透明度があるので海底まで見渡すことができ、息継ぎをしては海底近くまで潜るイルカの行動パターンもよく分かって面白かった。子供イルカの愛らしい瞳と目が合った。キューイ、キューイと鳴いていた。

【今日見た注目種】
ユウゼン、トノサマダイ、スミツキトノサマダイ、ミスジチョウチョウウオトゲチョウチョウウオ、ヤリカタギ、タテジマキンチャクダイ、ロクセンスズメダイ、シチセンスズメダイシマハギ、キイロハギ、ナンヨウブダイ、ノコギリダイ、ミナミハンドウイルカ(鯨)、カツオドリ(鳥)、オオイワガニ(甲殻類)、ミナミスナガニ甲殻類)、オカヤドカリ甲殻類