イチイガシのある神社
旅取材で宮崎に訪れたついでに、どこか良い照葉樹林を散策できたらと思い、ロードマップでたまたま見つけた巨田（こた）神社（宮崎県佐土原町）に寄ってみた。神社林があるかは分からなかったけど、地図に名前が載るような神社で、ある程度郊外に立地していればたいてい良好な神社林を持っているものだ。
その願いは叶った。神社が近づくと、前方に大きなイチイガシらしき林影が見えたので、そう確信した。今回の九州訪問では、小倉→平尾台→日田→阿蘇→椎葉→宮崎と縦断してきたが、車で走りながらもイチイガシが結構目についた。もちろん、アラカシやシラカシ、ウラジロガシなどと比べると個体数は圧倒的に少ないのだが、ほかの地方ではこれほどイチイガシを見かける機会はないだろう。
神社に到着してみると、地図に名前が載っている割には規模はずいぶん小さかった。鳥居と本殿がこぢんまりと建っているだけで、人影もない。ただユニークなことに、賽銭箱の前に署名用のノートが置いてある。開いてみると、住所の欄に「巨田」「筑後」など地元の字名だけを書いた署名が目立つ。当然ではあるが、地元の人に愛されている神社なんだなと少し嬉しくなった。さらにページをめくっていると、一人だけ九州以外の人がいた。名古屋市の男性で、年齢欄には26と書かれている。きっと、私と同じような旅人かライダーなんだろうなと思った。
