街森研究所

街や森で出会った木々や生き物、出来事などを紹介しています

森の中の連鎖反応

金比羅山の参道


 サクラの名所、多摩森林科学園(東京都八王子市高尾)にサトザクラを撮影しに行ってきた。午後2時半に入場したはいいけど、4時には閉門。ちょっと歩き足りなかったので、高尾駅の裏側に見えた山に登ってみたいと思い、あてもなく山を目指して歩いてみた。すると、期待した通りの登り口を発見。金比羅山(256m)というらしく、動植物が豊富でイノシシに注意と看板に書いてある。

 これはよい山を見つけたと思い、さっそく登り始めると、ブンブン飛び回るギンバエの群れに遭遇した。ハエが飛び回っていたら動物のウンコがあり、ウンコがあればセンチコガネがいるものだ。まさにこの期待通りの連鎖的な発見に出会ったものだから、山歩きは2倍楽しくなる。ここのセンチコガネはうっすら赤みを帯びている。写真を撮ろうと、棒でウンコとセンチコガネをつっついていたら、2匹目、3匹目のセンチコガネが飛んできた。ウンコをほぐしたものだから、辺りに香りが漂ったのだろうか。

 うまく写真が撮れず、しゃがみこんで何回か撮り直していたら、今度は斜面の下のほうから、カサッ、コソッ、という音が聞こえてきた。この音は獣か中大型の鳥だ。キジバトではないことを祈りつつ、イノシシかなと期待しつつ、そっと音がするほうに歩み寄ってみた。すると、スタスタッと木を登る影が。ニホンリスだ。こんな低山にもリスがいるのかー。山の下からは、野球部特有のけだるいかけ声が響いてきて、時折、反対側から踏切のカンカン音が聞こえてくる。そんな森の中で、リスは大きなしっぽをひっさげて、元気にリョウブの木を駆け登ってゆくのだ。

 じっと撮影をしていると、また別の生きものが姿を現す。これも連鎖反応のひとつで、独りで時間をかけて写真を撮るなんちゃってカメラマンならではの特典だ。帰りにちょっと寄り道したつもりが、満開のサトザクラ以上に心和む山歩きとなった。

【今日見た注目種】
ウラジロガシ、クマシデ、ダンコウバイ、ウリカエデ、アワブキ、ネジキ、ナツハゼ、ヤマツツジ(花)、マルバアオダモ(花)、ミヤマガマズミ(花)、オトコヨウゾメ(花)、ツクバネウツギ(花)、センチコガネ(虫)、ニホンリス(獣)、ガビチョウ(声)