街森研究所

街や森で出会った木々や生き物、出来事などを紹介しています

恐るべし! ギンヤンマのヤゴ

メダカを食うギンヤンマのヤゴ


 筒型の水槽でメダカを飼っていた。しかし、つい最近も1匹のメダカが死に、残り1匹になってしまった。かわいそうだから新しい仲間を買ってきてやろうと思い、ペットショップに足を運んだはいいが、何度も買っている黒メダカやヌマエビの類をまた買うのは何となくつまらない。かと言って、グッピーのような熱帯魚は飼えない。他に目新しい生き物はいないかと探していたら、「ギンヤンマのヤゴ 300円」と書かれた小さなタライが目に入った。のぞいてみると、5センチぐらいの大きなヤゴがいて、近く羽化もしそうな雰囲気だ。これは面白いかも、と思い、さっそく購入することにした。「メダカはやっぱり食われるかなぁ」と店員さんに聞いてみたら、「食べるよ」との答え。でも、冷凍赤虫を与えればメダカも全部は食われないだろう、と思い、冷凍赤虫と黒メダカ2匹を買って帰った。

 子供の頃よく田んぼでヤゴを捕まえたが、水槽で飼うのは初めてだ。ワクワクしながら家の水槽にヤゴを投入、続いてメダカを放流した。ヤゴはまるでメダカが放流されるのを待っているかのように、水槽上部の水草の上で待っていた。もしメダカを襲うことがあればその瞬間を観察したいなと思っていたら、さっそくヤゴがメダカを目で追っている。まさか、もう捕まえる気か!?と思ったら、いとも簡単に捕まえてしまった。生きたままのメダカをしっぽからムシャムシャ食べる様子は残酷そのものだが、これが自然界の姿だと思いつつ、食べ終わるまでの約5分間を観察しきった。それにしても、口の下部からびよーんと伸びる奇妙な下あごは、まるで口からもう一つの手が出てきたようで、エイリアンを想像せずにはいられない。

 1匹食えば、数日は何も食わなくても平気なのでは、と予想したのだが甘かった。食べ終わるや否や2匹目のメダカに目をつけ、何度かその奇妙なあごを伸ばして、またしても簡単に捕まえてしまった。結局、投入後数時間のうちに3匹のメダカをすべて捕食、1、2匹目は頭だけ残し、3匹目は上半身を食べ残した。メダカには申し訳ないことをしたが、メダカもメダカだ。ヤゴに対する警戒心が全くないらしく、1匹目のメダカが食われている時に他のメダカはそのすぐ横を悠然と泳ぎ回っている。しかし、こうした弱者メダカのおかげで池や田んぼの生態系は成り立っているのだ。ありがとう、メダカちゃん。そして、恐るべしギンヤンマのヤゴ! お前は1週間飯ぬきだ。