街森研究所

街や森で出会った木々や生き物、出来事などを紹介しています

珍しい植物がある場所は非公表にすべきか

conokix2005-06-01


 秩父には珍しい植物がある。石灰岩でできた山が多く、普通の植物が育ちにくいからだ。今日は、まだ見たことがなかった珍しい樹木、ウメウツギを観察することを一つの目的に、秩父の三峰山(1101m)と妙法ヶ岳(1329m)に登ってきた。妙法ヶ岳を選んだのは、ウメウツギの基準標本が妙法ヶ岳で採取されていたからだ。さっそく訪れたはいいが、登山道どおりに三峰山から妙法ヶ岳までを歩いてみても、ウメウツギは見当たらない。帰り道、ウメウツギが生えていそうな場所に見当をつけ、道をはずれて歩いていると・・・あった! 花は既に散った後だったが、目的を達成できるのはやっぱり嬉しいことだ。でも、結局ウメウツギを確認できたのは、その場所に生えていた6、7個体程度。この辺りでも個体数が少ない木であることが予想できた。

 さて、私は家に帰ってこうしてブログをつけているわけだが、次にウメウツギを探す人が現れたなら、ネットでこのブログを見つけて妙法ヶ岳に登るかもしれない。だから、これ以上の具体的な生育場所や生育環境を書くことを一応避けた。その人が自然を理解し愛する人間であればよいのだが、自己中心的な園芸愛好家や金儲け主義の業者であった場合、ウメウツギが盗掘される可能性が頭をよぎったからだ。やはり、今回のような貴重植物の詳細情報は公表すべきではないのだろうか?

 私は栽培や園芸には手を出していないので、盗掘したくなる衝動は全くないのだが、珍しい樹木の生育地はぜひ知りたい派(ネットでよく検索する)だから、このことにはやや自己矛盾がある。通常、樹木の場合は盗掘が容易ではないので、公表することで保護意識を高めるねらいもある(例:静岡県のジゾウカンバ自生南限)そうだが、山野草高山植物の場合は、情報を得るとすぐに盗掘する人間が本当に多いと聞く。ウメウツギの場合は1m足らずの低木であり、白い小花が咲くので、むしろ山野草的な性格が強いかもしれない。公表に問題があると思われれば、今回の内容は消去してもいいし、以後もこうした情報は公表しないことにする。大げさだろうか。どなたでも意見があればぜひ聞かせて下さい。

【今日見た注目種】
ウメウツギ、オノオレカンバ、ミズメ、ウダイカンバ、ヤシャブシ、ヒノキ、ナンキンナナカマド、ミヤマザクラ(開花)、バッコヤナギ、ホソエカエデ、ヒトツバカエデ、トウゴクミツバツツジ(開花)、ヒカゲツツジイワナンテン、ハナヒリノキ、マルバサンキライ