街森研究所

街や森で出会った木々や生き物、出来事などを紹介しています

視力へのこだわり

書斎から見える景色


 常日頃から、なくさないように気をつけているものがある。視力である。

 小学生から大学生の頃まで、ずっと2.0だった。社会人になってパソコンを頻繁にするようになったためか、現在は1.2〜1.5ぐらい。昔は目がいいと自慢してたけど、今となっては平凡な視力になってしまった・・・と言いたいところだが、それは過去の話。ご存じの通り、世の中の平均視力は劇的に低下しているから、今では裸眼というだけで自慢できる気がする。正直、「君たちそれでいいの?」と言いたい。

 よく言われる迷信が一つある。「視力は一度悪くなると回復しない」。これは嘘っぱちで、視力は間違いなく回復する。1週間パソコンに向かいっぱなしで仕事をしていると、視力が著しく低下して、電車内の中吊り広告の文字さえ見えなくなる。けれど、一日山に登って緑を眺めてくると、帰りの電車ではかなり遠くの中吊り広告まで見えるようになる。最近は家の中でパソコンばかりやってたので、今週あたり山に行ってくるか。

 山に行って、遠くに鳥を見つけたり、梢の先端に気になる葉っぱを見つけたとき、いつも双眼鏡で覗いてばかりじゃいけない。時には裸眼でにらみつけ、できる限り「見よう」と眼力を使うことが大切。双眼鏡ばかり使っていると、目の焦点が双眼鏡の内部に合ったままになり、裸眼で遠くの鳥や葉っぱに焦点を合わせる力が弱くなってしまうから。これに気付いて以来、双眼鏡を使う回数は減らずとも、使う時間はかなり減った。メガネについてももちろん同じ。メガネを使っている人なら分かっていると思うけど、メガネは、目が悪くても努力せずに物が見える道具。見えにくい物を見ようとする努力をしないから、メガネをかけているとどんどん視力は衰えていくばかり・・・

 人は、体の弱いところをかばってばかりいると、余計に弱くなって本当に何もできなくなるという。痛い言葉だが、身に染みる。野生動物なら、視力の悪化は即ち死を意味する。エサも取れず、天敵も見えず、野山を駆け回ることもできず・・・。そんな恐ろしい空想をしながら、今日も一日数回、窓の外の景色を眺めていた。