街森研究所

街や森で出会った木々や生き物、出来事などを紹介しています

紅葉名所の定番もみじ3種

 紅葉名所巡りには大きく2種類あると思う。ひとつめは、自然の山や森の紅葉を見に行くこと。日本アルプスの山々の紅葉もそうだし、日光いろは坂(栃木)の紅葉もこの類だ。ふたつめは、お寺や神社、公園の紅葉を見に行くこと。京都の紅葉巡りや、高尾山(東京都)や箕面山大阪府)の山麓はこの類だ。即ち、前者は野生の樹木が主役となり、後者は植えられた樹木が主役である。

 今日見に行ったのは、静岡県伊豆市修善寺自然公園である。自然公園といってもそれは立て前で、実際には植えられた数千本の「もみじ」が紅葉の主役だ。その種類は何かというと、大半はオオモミジ系で、中にはイロハモミジ系、ヤマモミジ系のものも交じっているようであった。私は細かな園芸品種は区別できないが、日本ではこれら3系統から多くの園芸品種が作られており、いわゆる紅葉名所で植えられている「もみじ」の9割以上はこれらに当たると思う。

 日本には野生のカエデが20種以上あるが、これら3種(正確にはヤマモミジはオオモミジの変種に分類される)に偏っているのはいかがなものか。けれども、これら3種は自然の山の中でも際立って鮮やかな紅葉を見せるし、寒冷地に分布するハウチワカエデやコミネカエデが暖地で育ちにくいことを考えれば、自然な成り行きなのかも知れない。

 帰り道、伊東市の海辺の干物屋に寄ってみた。アジ、サバ、サンマ、シシャモなどの定番魚をはじめ、様々な干物が並んでいるが、アジやサバはスーパーでしょっちゅう買っているから、ちょっと珍しいカサゴとキスの干物を買ってみた。さっそく家で食べてみると、淡泊な白身魚のせいか、ジューシーさに欠けてあまり感動がない。やはり、干物といえば脂が乗ったアジ、サバが最高なのだ!と、改めて思った。イロハモミジやオオモミジの紅葉が最高とされるように。