街森研究所

街や森で出会った木々や生き物、出来事などを紹介しています

日本有数の多雨地帯;屋久島の大雨


 12日から16日まで、世界遺産であまりに有名になった屋久島に行ってきた。屋久島に特別関心が高かった訳ではないが、あまりに有名になったから行っておく必要を感じていた。屋久島といえば日本有数、いや世界有数の多雨地帯で、年間降水量は東京の約3倍、5000mmを超えることもある。折しもこの日程は、7月としては過去最大級の台風4号が接近中の最中だった。最悪なタイミング・・・と考えるのが普通だが、世界有数の多雨地帯で記録的大雨に見舞われることは、むしろ貴重ではないか。

 高速船ロケットで屋久島に到着した12日、海は荒れ始めていたが、今しかチャンスはないと思って宮之浦の岩場で素潜りを試みた。荒れた海に潜るのはスリルがあって楽しいが、決してオススメしない。案の定、岩場で転倒して死にそうになり、早々と切り上げた。翌13日は雨が降ったりやんだりであったが、14日は台風通過で暴風雨となり、一日中宿に閉じ込められた。宿の近くを流れる水路は、大量の水が轟音を響かせながら凄まじい勢いで流れていた。この日の屋久島の降水量は約300mm。宿の部屋からモッチョム岳(944m)を眺めると、中腹に滝が3本も見えた。平常時には見られないはずの滝で、雨が上がった翌日には1本に減っていた。

 これだけの大雨が降ると、土砂崩れや倒木で道路が決壊することを恐れるものだが、今回は林道の一部が一時通行止めになっただけで、翌日の15日中にはほとんどが再開した。この日訪れた屋久島最大の滝、大川(おおこ)の滝では、写真ではスケール感が伝わりにくいかもしれないけど、落差88mの高さを途方もなく大量の水が流れ落ちていた。一方で栗生川(くりおがわ)の河口付近は、水面は穏やかで水も澄み、スノーケリングを楽しむ観光客の姿も見られた(この日に潜ればよかった)。すなわち、屋久島では大雨が降れば一気に水が流れ出るだけで、すぐに平穏な姿に戻るようだ。16日には、大雨の影響もさほどなく黒味岳(1831m)に登ることができた。写真はその途中、花之江河(はなのえごう)に向かう巨木の森である。有名なスギばかりなく、ツガやモミの大木もかなり多いことが印象的だった。

 屋久島を離れた後の17日、18日は、鹿児島県と宮崎県の森を回った。各地とも大雨による土砂崩れが多く、路面に流れ出た泥を懸命に除去する作業が随所で見られた。台風通過から4日たつというのに、多くの川は未だにまっ茶色の濁流のままだった。

【巨木の森で見た注目樹木】
スギ、ツガ、モミ、ヤマグルマ、ユズリハ、ヒメシャラ、ナナカマド、コハウチワカエデ、ハリギリ、タンナサワフタギ、ヒメヒサカキ、ハイノキ、シキミ、ヤクシマシャクナゲ、サクラツツジヒカゲツツジアセビ、アクシバモドキ、コバノフユイチゴ