街森研究所

街や森で出会った木々や生き物、出来事などを紹介しています

魅せられたジブリ映画の背景画

 美術館など見向きもしない自分が、珍しくすすんで美術館に行った。東京都現代美術館男鹿和雄展。ジブリ映画「となりのトトロ」「もののけ姫」「平成狸合戦ぽんぽこ」などの背景画を描いている人で、これまでの作品や下絵を600点以上も公開した企画展(10月1日迄)である。当然ながら、自分のように日頃はアートに無縁な人もたくさん押し寄せるから、週末なら2時間待ち、平日の今日も20分待ちでようやく入場できた。

 内容は想像以上にすごい。どれも繊細でリアルで、つい見入ってしまう。どうやって描いてるんだろう? やはり目がいくのは、草木や自然風景の描き方。その絵を見て、描かれている植物の名前がだいたい分かってしまうから、この人は絶対に何かを見ながら描いていることが分かる。想像だけでは描けないはずだ。

 絵描きの端くれ(?)として、絵を描いていた頃の記憶がよみがえる。あっ、この構図は自分が中学生の時に描いて入賞した絵に似てる! とか、樹木のデッサンや設計図面のパースを必死に描いていた学生時代を思い出す。そして、自分が理想とする植物画や風景画のタッチが、今日は目の前にたくさん並んでいた。

 こうして見ると、ジブリ映画のイメージをつくる要素として、美しい背景画の影響が大きいことを実感する。中でも「となりのトトロ」は、身近な自然の神秘性をメルヘンチックに表現したすばらしい映画。日本にこういうアニメ作家と背景画家がいてよかったと思う。