街森研究所

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節電のために、東京に原発を

 去る1月27日に、東京駅周辺で行われた反核パレードに参加してきた。青森県六ヶ所村の核燃料再処理施設の本格稼働反対を訴えるデモ行進だ。突然どしちゃったの? と思われそうだけど、これには経緯がある。1か月以上ブログを書けなかったのも、そのための勉強に費やしたと言える。この反核パレードとロッカショ問題については、メールマガジン『エア・ビーパル』(小学館発行)で記事を書いたので、まずはこれを読んでほしい。
http://www.airbepal.com/bn/10509172356200/1201777642.html

 核燃料再処理工場の危険性は分かっていただけたと思うけど、この記事だけでは大きな疑問が残るだろう。そんなに危険なのになぜ稼働させるの? 国が許すわけないだろう? その答えを記事に書く力量はまだ自分にはないのだが、簡単に言うなら、「日本中の原子力発電所に貯まった放射性廃棄物が間もなく満杯になろうとしており、(あまり騒がれないうちに)急いで再処理工場を稼働させないと、日本中の原発を運転停止せざるを得ず、莫大な経済的損失が発生してしまう」というのが大きな理由の一つだろう。再処理工場から生産される極めて危険なプルトニウムの使い方(将来の核兵器製造も可能)や、発生してしまう高レベル放射性廃棄物の処理方法はその後に考えよう、という場当たり的な進め方である。そんなバカな、と思うかも知れないが、国がやっていることは全て正しいと信じ込むのは、戦争中の“日本バンザイ”と何ら変わりない。

 この問題を調べていると分かるのだが、国や電力会社が出す情報には、メリットや建て前ばかりが前面に出されており、根本にある重大な問題点が見えてこない。一方で反対論者の情報の中には、危険性や問題点が誇張されて事実誤認されているものもある。だから、客観性と正確性を供えた情報を探すのに苦労するのである。ただ言える事実は、国や電力会社は“不都合な真実”を隠したがり、我々国民はこの問題を知らなすぎるということ。日々湯水の如く電気を使う我々全員が考えるべき深刻な問題なのに、皆が他人事のように見過ごしている。

 そんな自分も、つい半年前までは恥ずかしながらこの問題をほとんど知らなかった。実は昨夏に、渦中の六ヶ所村を車で通過しているのだが、「たまに耳にする六ヶ所村ってこのへんか」ぐらいにしか思っていなかった。それが今こうして必死に勉強しているのは、自分の故郷、山口県の実家のすぐそばに上関原発(計画では来年着工)ができようとしており、その現場を見てきたからだ。そう、自分の身に直接リスクが振りかかる状況になって、初めて真剣に考え出し、節電も本気で心掛けるようになった。誰だってその程度のエゴイストだということを、身をもって痛感したわけだ。

 そこで私は提案したい。東京湾原発をつくる計画を立てよう。そうすれば、何人のエゴイストがこの問題を真剣に考え、何人の電気浪費者が本気で節電し始めるだろうか。そして、この計画は100%頓挫する。そんな空想が既に映画として存在していることを知った。『東京原発』・・・役所広司演ずる都知事の言動が非常に痛快で、原子力に関する情報も正確と言われている。勉強になりますよ。

YouTubeに投稿された『東京原発』のコアシーン(これを見た方がこの映画を見たくなると思う)


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