街森研究所

街や森で出会った木々や生き物、出来事などを紹介しています

霧中の玉原高原で牛歩観察

 思い返してみれば、僕の樹木観察の旅はいつも時間に追われている。限られた時間で多くの場所を見ようとするから、立ち止まっての観察&撮影と、足早の移動を繰り返してきた。今日はそんなせっかちな観察スタイルを抜け出して、ひたすらゆっくり・じっくり楽しんだ。植物観察のセミプロ主婦たち4人と訪れた、群馬・玉原高原(たんばらこうげん)の2日間。両日とも濃い霧がかかって視界が狭く、初日は小雨がぱらつく中とあって、ゆっくり歩くにはむしろ好都合だった。

 標高1200-1300mのブナ林と玉原湿地を中心とするエリアで、初日の午後に3.5時間、翌日の早朝に2時間、日中に5.5時間の散策をした。その歩行距離を地形図から測定してみると、合計9.3kmであった。すなわち、時速845m。1キロ歩くのに1時間以上かかっていることになる。ちなみに、不動産屋の広告にある「駅まで○分!」といった歩行速度は時速4800mだから、我々はその5分の1以下ということになる。

 まあそんなもんだろう。いつもはやり過ごしてしまう疑問や対象にも、じっくり足を止めて観察するものだから、いろいろな発見がある。立ち枯れしたブナ老木の上にヤシャビシャクを発見したり、無差別に伐採されたツルアジサイ老木の年輪を数えたり(下写真)、林道端に生えたウダイカンバ、ミズメ、ダケカンバ、シラカバの幼木を比較したり、羽をふるわせ求愛するヤマガラの仕草に出くわしたり・・・そして、夜は巻きストーブのあるペンションでおしゃべり。

 最近、僕の体は現代生活に疲れ果てているから、たまにはこんなスローな旅もいい。

【今日見た注目種】
テツカエデ(上写真)、アスナロ、アカイタヤ、アサノハカエデ、ヤマモミジ、ヒトツバカエデ、キハダ(芽吹)、ヤチダモ(芽吹)、イヌエンジュ(芽吹)、ヤマウルシ(芽吹)、タムシバ(花残)、ムラサキヤシオ(花)、コヨウラクツツジ(花)、ホツツジ、カラスシキミ(花)、アカミノイヌツゲ(実)、ヒメモチ(実)、ヤシャビシャク、ノスリ(鳥)、コサメビタキ(鳥)、アオジ(鳥)、イカル(鳥)、ヒガラ(鳥)、アカゲラ(鳥)、エゾハルゼミ(虫)、ヤマナメクジ(軟体動物)