街森研究所

街や森で出会った木々や生き物、出来事などを紹介しています

日本一の乾燥地帯;播磨アルプス縦走

 アプルスと名のつくローカルな山々に興味を持っている。今回は、旅の途中に通りがかった、兵庫県高砂市の高御位山(たかみくらやま:304m)を主峰とする通称「播磨アルプス」を縦走してきた。瀬戸内海東部の沿岸は、日本随一の少雨・乾燥地帯で、新幹線の車窓から眺めていても森林の丈が低くてハゲ山も目立つ。前から興味を持っていたエリアだ。
 登山口の鹿嶋神社はかなり立派な神社で、その裏手の岩山の展望台は人気の初日の出スポットになっているらしい。麓はどこにでもあるモチノキやヤブニッケイなどの照葉樹林が茂るが、登山道を登るにつれて樹木の背丈はみるみる低くなり、アカマツやネズ、ガンピ、コバノミツバツツジなどが主体となった典型的な乾燥地の低木林になった。うん、期待通り。
 播磨アルプス北側の桶居山方面にはさらに樹木の少ない写真のような景色が広がり、まるでアメリカの荒野を眺めているような錯覚に陥る。一部に、直線的に植林されたと思われる樹林帯があり、山火事の多発地帯であることが想像できた。稜線でラジオを聞きながら弁当を食べてたオッチャンに聞くと、やっぱり山火事が何度も起きているらしい。火事が起きて比較的間もない場所はコシダとウラジロが生い茂り、遠くから見ると黄緑色の草原に見えて異様である。自然発火以外の原因が多いとは思われるが、乾燥地帯では山火事が起きることで特有の植生が成り立っていると考えていいだろう。
 岩が露出するからアプルス。それ故に植生も単調だけど、景色は絶景。鷹ノ巣山の斜面では、名の通り何度も旋回を繰り返すハヤブサの姿も見られた。暖かい小春日和に、気持ちのよいアルプス縦走を楽しめた一日だった。

【今日見た主な樹木】
<高木>アカマツ、コナラ、アラカシ、ヤマモモ、ソヨゴ、ネズ、カナメモチ、ハゼノキ、マルバアオダモ、カスミザクラ×キンキマメザクラ? <低木>コバノミツバツツジ(花あり)、モチツツジ、ネジキ、シャシャンボ、ヒサカキネズミモチ、イヌツゲ、ウバメガシ、ガンピ、ハギsp.、ヤマウルシ、コツクバネウツギ△、イブキシモツケ△、イヌザンショウ