街森研究所

街や森で出会った木々や生き物、出来事などを紹介しています

群馬の奇岩・妙義山に登る

 すごい岩山、というイメージがある群馬県南西部の妙義山(みょうぎさん・1104m)に訪れた。赤城山榛名山(はるなさん)とともに、群馬では上毛(じょうもう)三山として知られる山だ。車や電車の窓からもその姿はよく目立つが、ネットで下調べをしても植物の情報は意外に少ない。岩山は木が少ない印象があるが、実際に訪れてみると、中腹あたりまでは立派な森があり、谷筋にはケヤキやハルニレ、オニイタヤなどの大木が多く、林内にはアカシデやヤマトアオダモの他、メグスリノキやミツデカエデ、イロハモミジなどのカエデ類も目立つ。紅葉の名所と言われるのも納得だ。


 林内でも岩の多い場所は、嫌というほどコクサギだらけだ(上写真)。西日本では石灰岩地に生える珍木も、妙義山ではすぐ見飽きてしまう。岩の上にはヒメウツギやヤマブキも生えるが、植生はかなり単調といえるだろう。林内の低木がやけに少ない場所もあるので、シカが多いエリアもあると思われた。


 奇岩が立ち並ぶ急峻な山肌が、なんといっても妙義山の醍醐味で、鎖場も多く、かなりスリルのある岩地にも道がついているので面白い。中でも第一石門、第二石門はアクセスも比較的よく、高所大好き症の人にはオススメである。展望を期待するなら、第四石門までぜひ足を伸ばしたい。上写真は第四石門より第一、二石門方面をのぞんだ風景。いやぁ、中国の山奥に迷い込んだような珍景である。そんな岩尾根には、アカマツ、ネズミサシ、ミズナラ、ツガ、サビバナナカナド、マルバアオダモなどが張り付いている。もちろん尾根全体はツツジ科が多く、アブラツツジ、サラサドウダン、ミツバツツジ、ホツツジ、コメツツジなどが見られる。

 この他、ジゾウカンバやゴヨウマツ、ブコウマメザクラなどもあるらしいが、私が歩いた場所では見つけられなかった。今回は標高900mあたりまでしか登る時間がなかったが、再度訪れる機会があれば、山頂の鎖場にもチャレンジしてみたい。