街森研究所

街や森で出会った木々や生き物、出来事などを紹介しています

木材自給率26%

 日本の食料自給率40%、エネルギー自給率4%が危惧されているが、木材自給率を知る人は少ない。26%を高いとみるか、低いとみるか。
 本、書類、新聞、ティッシ、木のテーブル、合板の本棚、木造住宅……私たちは木や紙の製品を大量に使っているのに、野山を見渡しても、伐採された林が少ないことを「おかしい」と思う必要がある。日本は国土の68%を森林に覆われ、世界平均の30%をはるかに上回る森の国だ。なのに、木材輸入量はアメリカ、中国に次いで3位の輸入大国。自国の林が青々としているのは喜ばしいことだが、見えない海外では、今でも北海道に近い面積の森林が毎年減少し続け、温暖化の一因にもなっている。途上国では不法伐採、すなわち自然林の違法な伐採や、植林を伴わない無計画な伐採が横行し、その木材を我が日本も無差別に買い上げているのが現実だ。
 一方、国内のスギ・ヒノキ林は使われぬまま放棄され、生物多様性の低下や、保水力の低下が深刻化している。自国の木が使われない理由は簡単、海外の木のほうが安いからだ。ただし、輸入材でも「FSC」などの森林認証マークがついていれば、不法伐採材ではないことが保証される。あらゆる物事を市場原理に委ねるのではなく、社会全体を見据えて、皆でルールを考え直す時代に来ている。


※この文章は2011年7-8月に山口新聞「東流西流」に掲載された連載記事を一部修正したものです。