街森研究所

街や森で出会った木々や生き物、出来事などを紹介しています

考えさせられる引越;広島県廿日市市へ

 しばらくブログを留守している間にいろいろあり、3月に子どもが生まれ、4月から広島県廿日市市(はつかいちし)の旧大野町へ引っ越しました。世界遺産で神の島といわれる宮島の対岸です。写真の左端に見える島が宮島で、中央奥は周防大島、右端は本州の山口県方向です。

「子どもが生まれた直後に引越とは大変でしょう」とよく言われますが、引越の理由は、子どもの誕生でそれまでの2DKアパートが手狭になったためです。僕の場合、住居兼仕事場だし、庭もほしかったので、子どもを持つなら一軒家に住みたかったのです。広島県というのはたまたま。妻には「海が見える家」という強い希望があり、山口県内でも下関市まで探したのですが見つからず、広島県も探してみた時に今の物件に出会ったのです。まあ、夫婦とも引越好きで都会も好きなので、これまでとは違う都市圏に住んでみたいという思いもありました。

今回の引越条件と、その評価をメモしておきましょう。

  1. 仕事部屋が確保できる借家で、家賃7万円以内・・・○
  2. 木や野菜が植えられる庭がある・・・◎
  3. 通信環境や交通の便がよい・・・○
  4. 自然豊かで閑静な環境・・・△
  5. 子育てによい環境・・・△
  6. 海が見えて景色がよい・・・○
  7. 近隣住宅からプライベートが確保されている・・・○

 6と7は主に妻の要望です。で、実際にここ廿日市市南部に1ヶ月住んだ感想はというと・・・うーん、いろいろ考えさせられました。「いい所でしょう?」と問われて、すんなり「はい」とは言えないのが本音です。敷地内はいいのですが、問題は敷地外にありました。4キロ南にある大竹市の工場地帯の悪臭と、12キロ南にある岩国米軍基地の騒音です。初めて物件を見た時から「近いな」と気にはなっていたのですが、何度か下見をしたときは気にならず、実際に住んでみてかなり気になったのでした。

 朝起きて、庭に出ると「ん、ナンだこの臭いは?」と感じることがしばしば。下水のような臭いと、金属系薬品のような臭いの2種類が主にあります。発生源はどの工場かわかりませんが、風向きによって変わるようです。ここ10年くらいは空気がきれいな郊外に住んでいたので、深呼吸して「空気が美味しい」と思えないのは悲しいことです。

 ちなみに、4月22日未明に岩国大竹コンビナートの三井化学工場が爆発した時は、爆風で窓が大きな音を立てて飛び起きました。下の写真は、その翌日に事故現場そばを訪れた時の写真ですが、重さ6tの金属片が約700m離れた川岸に吹き飛ばされていました。

 日中は米軍の戦闘機が頭上を飛ぶのもしばしば。これは想定していましたが、夜11時ごろにも飛んだ時はカチンと来ました。世界平和のために、基地や戦闘機が、寝ついた子が目を覚ますことが本当に必要なのでしょうか。いつまでも兵器を手放せない人間の愚かさを憂えてしまいます。なお、下の写真は岩国基地の日米親善デーでアクロバット飛行をする自衛隊ブルーインパルスです。

 それと、もう一つ不便に感じるのは、周囲に店が少ないこと。不動産屋さんからも「陸の孤島だよ」とは言われていましたが、車で5分以内の場所は本当に店が少ない。30分も走らせれば広島市内でデパートや大型店がたくさんあるけど、日常生活圏は地元の山口県光市や柳井市よりも不便と感じました。大都市郊外にはありがちなパターンかもしれませんね。

 悪いことばかり書きましたが、もちろんいいこともたくさんあります。家は今までになく広いので、仕事も生活もゆとりをもてるし、庭で家庭菜園ができるのは嬉しい限り。広島市が近いので、山口県にはなかった大型書店や植物園、各種専門店、大学主催の植物観察会などにも行きやすくなり、様々なプラスになります。今年は広島修道大学で非常勤講師もやらせてもらってるし、広島市圏に住めるのはワクワクします。広島カープサンフレッチェ広島の情報がテレビ・新聞で豊富に入るのも、一ファンとして大きな魅力です。

 今回の不動産屋さんは、方位を重視する九星気学のマスターで、「あなたはいま北東方向(光市→広島)に引っ越せば、いい出会いに巡り会えます」と言われました。いろいろ考えさせられることはあっても、広島に来たことで得られる出会いを、ここに住むであろう数年間でたくさん見つけたいと思います。