街森研究所

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広島→山口ピースウォーク初参加

 9月3日から1週間、「瀬戸内の海と川と平和を守るウォーク」というイベントに参加してみた。広島市平和記念公園をスタートし、ゴールの山口県庁までの約150kmを、山口県の上関原発反対、錦川・平瀬ダム反対、米軍岩国基地増強反対などを訴えて歩くピースウォークである。炎天下で1日20km前後の行程に加え、主要駅での署名活動、キャンプやお寺での寝袋泊など、とても楽とは言えないハードな旅だ。

 初日と最終日だけのぞければいいかなと思っていたのだが、一度歩くと抜け出せなくなる、そんなピースウォークの魅力を初日に実感し、結局5日間ほど参加した。参加者は県内外からの若者を中心に20名前後。車で行き違うドライバーの大半は、「何事か?」とプラカードや横断幕をと見つめ、中には手を振ってくれたり、差し入れやカンパを持って来る人もいた。街中で上関原発予定地埋め立て反対の署名を呼びかけると、およそ半数の人は署名に応じ、「がんばって下さい」と励ましてくれた。残りの半数は、「無関心(あるいは関わりたくない)」と「原発がないと生きていけないと思い込んでいる人」たちだ。電力会社や国の過剰なまでの原子力推進運動は、ある程度の効果を得ているようだった。それでもピースウォークの参加者たちは、手応えの方がずっと大きいと感じていた。

 最終日、約70人に膨れ上がった隊列がゴールの山口県庁に到着すると、県庁前広場で太陽光発電を用いたゲリラライブを開き、旅の達成を歓喜した。大汗をかいて歩き、踊る。そんな原始的な行為を、文明化された日常で私たちは忘れかけていた。その後、県庁内の会議室に移動し、山口県の担当者12名を相手に各問題に関する申し入れを行った。県の対応は、想像以上に機械的で中身がなく、回答に戸惑うケースも多かった(ただし岩国米軍基地問題を除く)。このような申し入れにどの程度意義があるのか分からないが、県の対応に市民が直に触れることにまず意義があるのだろう。

 上関原発の問題は、今年6月に事業者の中国電力が予定地の埋立て許可申請を行い、今秋には山口県が許可を出す可能性があり、ヤマ場を迎えている。山口県議会や上関町議会では原発推進派が多いのは事実だが、山口県民はどう思っているのか? 上関原発の受益者となる広島県民、中国5県、さらには関西圏の人たちは原発建設を希望しているのだろうか? 国と自民党の問答無用な原子力推進政策により、放っておけば原発ができるのは間違いない。「反対」を唱えなければ即ち賛成とみなされ、原子力問題に「中立」はないと言われる。電気を使う全ての人たちに、この問題を真剣に考えてもらうためのスタート、それが今日のゴールなのかもしれない。