街森研究所

街や森で出会った木々や生き物、出来事などを紹介しています

随筆

風景をつくるセンダンの名木

開花中のセンダンの名木(山口県田布施町麻里府) 写真は、2011年5月に発売した著書『葉っぱで気になる木がわかる』(林将之著/廣済堂出版発行)に掲載したセンダンの木です。 何を隠そう、私が生まれ育った故郷に生えているシンボルツリー的な存在で、小学…

私は潰瘍性大腸炎

4年前に青森を旅した時、旅館に着くや否やトイレに駆け込んだ。昼食の貝が当たったのか? 帰宅後も下痢は断続的に続き、お腹はギュルギュル鳴り続け、ひどい日は10回以上もトイレに駆け込んだ。やがて、排便時にドロッとした半透明の粘液が出るようになり、…

原発タブーの崩壊

福島原発の事故以来、日本の報道が大きく変わったことがある。「原発タブー」の崩壊だ。 2年前、私が取材していた上関原発問題を、ある週刊誌の編集部に持ち込んだ時の話。若い担当編集者は「ぜひ記事にしましょう!」と意気込んでくれたが、数日後、「ボツ…

原発と私

拙宅は、山口県の上関原子力発電所予定地から13kmの距離にある。窓からは、美しい上関町の島々が見渡せる。福島原発でいえば、強制避難区域の円の中だ。 私が5歳の時、上関原発計画は浮上した。子どもながら直感的に不安を感じていたが、大学進学で関東に移…

クマは絶滅するのか

薄暗い山奥の森を歩くのは、あるリスクが伴う。クマ(ツキノワグマ)との遭遇だ。彼らが人を攻撃するのは、彼らも人を恐れている時で、本来は人を襲う動物ではない。鈴やラジオをつけ常に音を発することで、クマの方から遭遇を避けてくれる。 生態系の頂点に…

木材自給率26%

日本の食料自給率40%、エネルギー自給率4%が危惧されているが、木材自給率を知る人は少ない。26%を高いとみるか、低いとみるか。 本、書類、新聞、ティッシ、木のテーブル、合板の本棚、木造住宅……私たちは木や紙の製品を大量に使っているのに、野山を見…

木を見て自然を読む

クヌギ、シラカシ、モチノキ……。15年前、関東の千葉大学に在学中の私が、雑木林でまず始めに覚えた木々だ。図鑑やノートを片手に、葉っぱとにらめっこしながら木を調べ、ようやく名前がわかると感激したものだ。 主要な木は覚えたつもりで、山口県田布施町の…

バラ色の印税生活?

「印税で遊んで暮らせるんでしょ?」 年に1冊のペースで樹木図鑑を出版していると、そう羨ましがる人もいるが、現実は甘くない。売上100万部クラスの有名人と、自分のようなマニアックな本ばかり作っているのは訳が違う。 印税はよくて10%だから、定価1,000…

葉っぱ図鑑をつくる

大きくなったら何になりたい? と尋ねられても、答えに困った。子どもの頃から木が好きだったわけじゃない。好きだったのはむしろ魚や虫で、自宅の学習図鑑セットは、魚図鑑と昆虫図鑑はボロボロ、植物図鑑はピカピカだった。 高校で進路を決める時、「自然…

フリーライター

ときどきフリーターと間違えられるのだが、私の職業はフリーライター。専門は樹木で、これまで10冊の樹木図鑑を出版し、アウトドア雑誌や専門誌で記事を書いてきた。最近は「樹木図鑑作家」という偉そうな肩書きも使っているが、ライターにしろ作家にしろ、…