街森研究所

街や森で出会った木々や生き物、出来事などを紹介しています

フリーライター

 ときどきフリーターと間違えられるのだが、私の職業はフリーライター。専門は樹木で、これまで10冊の樹木図鑑を出版し、アウトドア雑誌や専門誌で記事を書いてきた。最近は「樹木図鑑作家」という偉そうな肩書きも使っているが、ライターにしろ作家にしろ、定義も資格もないから名乗るのは自由だ。
 大学卒業後、私は本当のフリーターを1年やって、東京の中小出版社に入社した。1年で一通りの仕事を覚え、2年目に会社を辞めてまたフリーになると、今度はフリーライターという肩書きを名乗れるから不思議だ。コネはなかったが、大手出版社に売り込み、苦労しつつ実績を重ねた。
 日本の出版社は、大半が東京にある。だから、作家や写真家、編集者も、多くが東京周辺に住んでいる。情報を発信するのも受け取るのも、東京が業界標準というわけだ。
 こうした一極集中に一石を投じたい思いもあり、32歳で故郷の山口県田布施町にUターン。不安はあったが、インターネットが地方からの情報発信を可能にした。私のホームページを見て仕事の依頼を受け、打合せや原稿のやりとりはメール、というスタイルは今や当たり前。それでも、数か月に一度東京に出向き、直接顔を合わせることや、都会の空気に触れる時間は欠かせない。


※この文章は2011年7-8月に山口新聞「東流西流」に掲載された連載記事を一部修正したものです。

 今年7月5日〜8月30日にかけて、地方紙・山口新聞のエッセイ欄「東流西流」で、500字余りの原稿を9回連載をする機会をいただきました。今まで樹木に関する様々な原稿を書いてきましたが、考えてみれば、エッセイすなわち随筆という自由な文章を、公の出版物で書くのは初めてでした。自己紹介的な内容から始まり、森林、環境、原発問題まで踏み込んで書かせていただき、よい経験になりました。せっかくなので、今日から9日間、その連載記事をこのブログで紹介したいと思います。