街森研究所

街や森で出会った木々や生き物、出来事などを紹介しています

念願のクマ遭遇

草むらをあさるクマ


山歩き初心者の知人と尾瀬に出かけた。日帰りで時間もないので、鳩待峠から入り尾瀬ヶ原の途中まで行って引き返すという入門用コースを選択。「まぁ今回は仕方ないか」と思っていたが、それがクマさんとの出会いに結びついた。

出発の数日前、クマの新聞記事を読んだ知人から「大変ダー! 尾瀬はクマが増えてるらしい」とのメールをもらったが、私は「昼間の人通りが多いルートなら遭遇可能性は非常に低いし、熊鈴だって持ってるから大丈夫」と相手にしなかった。

その昼間の人通りの多いルートで、初めて野生のクマに遭遇した。午後1時過ぎ、尾瀬ヶ原の中央付近、上ノ大堀川にかかる橋を渡っているとき、後ろにいたおじさんグループが「あれはクマじゃないかい」とつぶやいた。「ホントかぁ!?」と半信半疑で指さす方向を見ると、ホントにクマだ! 距離は30〜40m、草むらで何かをあさっている。少なくとも人間の大人ぐらいの大きさはありそうだ。クマはこちらにチラリと目をやった後、ゆったりと川にザブンと飛び込んで横断し、茂みに消えていった。

私は見た瞬間、「あれホントに野生のクマなんかなぁ?」と思ってしまった。観光地だからクマを飼育してるとか?・・・と、あり得ないことを考えながらもカメラのシャッターを切った。クマを見た感想は「動物園で見たのと同じだった」で、奇しくもこれは知人と一致。クマとの遭遇は緊張感ほとばしるはずなのに、こんなではイカイカン。原因は、高さ約3mの橋の上から見たため視界がよく、身の危険を感じなかったこと、周囲にハイカーが10〜20人もいたこと、尾瀬があまりに有名な観光地であること・・・

念願のクマとの遭遇はこうして終わった。情報を届けたビジターセンターによると、尾瀬ヶ原でのクマ目撃情報は約1カ月ぶりで、私が話した職員さんもまだクマを見たことないとか。夕方4時を過ぎた帰り道、すっかり人気のなくなり鳩待峠までの山道を歩いていると、いつものクマへの警戒心;心地よい緊張感がよみがえった。

【今日見た注目種】
ダケカンバ、ネコシデ、ヤチダモ、シウリザクラ、ヤマシグレ、ハリブキ、ウラジロハナヒリノキ、ヤチヤナギ、ウラジロヨウラクチングルマ、ヒメシャクナゲニッコウキスゲ(草;花はごく少ない)、コオニユリ(草)、コバギボウシ(草)、マルバダケブキ(草)、クガイソウ(草)、ソバナ(草)、サワギキョウ(草)、シナノキンバイ(草)、キンコウカ(草)、ミヤマカラマツ(草)、ミヤマシシウド(草)、オゼコウホネ(草)、ヒツジグサ(草)、ナガバノモウセンゴケ(食虫植物)、キイトトンボ(虫)、アカハライモリ(両生類)、カワガラス(鳥)、ツキノワグマ(獣)