街森研究所

街や森で出会った木々や生き物、出来事などを紹介しています

西伊豆海岸の岩に登る

山頂から見えた岩


弟の車で伊豆半島ドライブに出かけた。白砂が美しい白浜海岸下田市)、海辺の露天風呂で知られる雲見温泉松崎町)が主要目的地。このエリアには、南方系の植物が北限生育地としていくつも分布しており、途中にアオギリ自生地、ハマボウ自生地にも訪れた。また、雲見温泉付近の海岸では、切り立った岩がいくつも突き出ており、その中のひとつに登ってみることにした。だって、こんな岩山の上にどんな植物が生えているのか気になるでしょ?

登った岩山の高さは約160m。一歩踏みはずすと転げ落ちそうな急階段を中腹まで登り、その後は山頂まで山道が続いている。さすがに岩山だけあって、土壌は薄くて乾燥気味だ。こんな場所には最高級の炭;備長炭の原料になるウバメガシが多く生え、暖地特有の景観をつくり出している。伊豆エリア固有のサクラガンピ、静岡県が東限となるモチツツジが普通に生えていることも私にとっては特記事項だ。

いよいよ山頂に着いた。山頂には社があるが、木が茂って展望はあまりない。しかし、社の裏に3mほど突き出た岩があり、そこに登れば360度の絶景が拝めそうだ。ただし、その岩に登る階段には「立入禁止」の札がかけられている。なぜ立入禁止なのか。階段は壊れていないし、岩自体も崩れるような岩ではなさそうだ。地形的に風が強い。岩の上からは簡単に飛び降り自殺ができる。そのための立入禁止と判断し、あとは自己責任を認識して岩を登った。てっぺんは、恐怖感と爽快感が交錯する印象的な場所だった。登ったかいがあるってもんだ。

事故や危険を予測して、頭っから全てを立入禁止にするのはよくない。しかし、事故や危険を予測せずに、どこにでも入っていくのも愚かだ。自然の中ではすべてが自己責任である。

【今日見た注目種】
ウバメガシ、オオシマザクラ、イブキ、タイミンタチバナ、マルバアオダモ、シャシャンボ、モチツツジガクアジサイ、キハギ、サクラガンピ、イソヒヨドリ(鳥)