街森研究所

街や森で出会った木々や生き物、出来事などを紹介しています

命の誕生と儚い一生

イモリの幼生


 我が家の水槽に、新しい生命が誕生した。というか、今月1日に秩父へ出かけた時に、河原の水たまりから持ち帰った卵がかえったのだ。

 その日河原を歩いていると、岩場のすき間の小さな水たまりに、お腹の大きなアカハライモリが1匹いるのを見つけた。よく見ると、両方の後ろ足で落ち葉を挟んでモゾモゾしている。つついてみたが、死んでいるかのように硬直している。これはもしやと思い、イモリが去った後にその落ち葉を見てみると、1〜2個の卵がついているのを発見したのだ。水たまりには他にも多数の卵があったので、4個の卵をフィルムケースに入れて失敬し、自宅の水槽に投入した。

 5日後、そのうち3個が孵化し、昨日、ようやく残りの1個も孵化、計4匹のイモリ幼生を確認した。初めの3匹は古い卵、最後の1匹は産卵を目撃した時の卵だったのだろう。オタマジャクシを見る機会は多いが、イモリの幼生を見たことある人は少ないと思う。僕もそうで、こうして間近に動きを観察したのは初めてだ。さかんにチョロチョロ泳ぎ回るオタマジャクシとは違い、日頃は底にごろんと寝転がっていて、時折、まるでドンコが泳ぐように素早く泳ぐ。同じ両生類なのにこんなに違うのか、という感じである。

 ところで、イモリの卵を持ち帰った時のフィルムケースに、1匹のボウフラも入れておいた。にっくきボウフラ!と言いたいところだが、私は小学校の自由研究でヒトスジシマカやユスリカの観察をしていたので、妙に愛着がある。ボウフラは日に日に成長して大きくなり、数日前に蛹になったのを確認していた。そして今朝、そのボウフラの抜け殻が見つかった。成虫になったのだ。そういえば朝方寝ている時に、窓を閉め切っていたはずなのに蚊が耳元に飛んできたのを思い出した。液体アースノーマットをつけていたので、「そのうち死ぬだろう」と無視していたのだが、それがこのボウフラだったのだ! まるで、育ててきた僕にお礼を言うかのように耳元に飛んできて、そして、美味しい血を吸う前に儚くも逝ってしまったのだ。