街森研究所

街や森で出会った木々や生き物、出来事などを紹介しています

丹沢が天国に最も近くなる日

 丹沢でいちばん有名な花といえば、恐らくシロヤシオ(白八汐)だろう。葉が5枚ずつつくので別名ゴヨウツツジ(五葉躑躅)、樹皮が赤松に似ることからマツハダ(松肌)の呼び名もある。一般には愛子様のお印としても知られるが、樹木としてはむしろマイナーで珍しい部類で、太平洋側の限られた山地にしか分布しない。

 そのシロヤシオが満開を迎えるのが5月下旬から6月初旬。神奈川県の丹沢山麓に住んでいるからには、一度は見てみたい! ということで3回目の丹沢山(1547m)に登ってきた。一緒に登ったのは、以前も案内してもらった材木屋のご主人と、70歳になる地元の同窓会グループの男女7人。7人の大半はいずれも丹沢山は初めてだそうだ。

 標高1300mの稜線に出たところで、初めてシロヤシオの落花が目に入った。見上げると、半分以上花が散ったシロヤシオの木があった。む、もう散り初めか? と思ったのもつかの間、標高を上げるにつれて次々と満開のシロヤシオが現れた。清楚な純白の中に、時折濃厚な紅色のトウゴクミツバツツジの花が交じる。その光景はまるで紅白まんじゅうを思わせ、とても美しかった。「ここは天国だ!」と誰かが盛んに言ってたけど、まさにその通り。穏やかな晴天の下、一年で最も天国に近い日に丹沢山を歩くことができた。

【今日咲いてた花】
シロヤシオトウゴクミツバツツジ、サラサドウダン、メギ、アオダモ、ミヤマザクラ、ハウチワカエデ、シロガネソウ、クワガタソウ
【今日見聞きした鳥】
オオルリキビタキ、マミジロ(声はアカハラに似るが「ワン、スリー」と2回しか鳴かない)、コルリミソサザイセンダイムシクイ、ウグイス、ヒガラ、ゴジュウカラアカゲラ、カケス、ツツドリホトトギス