街森研究所

街や森で出会った木々や生き物、出来事などを紹介しています

木がつくる異国情緒の景色

 この景色、どこだか分かりますか?

 僕はまず北海道を思い浮かべました。広い草原に点在する木々と明るい針葉樹の林。いや、それは北海道でも見たことない林・・・。ここは本州最大のアシ原が広がる栃木県の渡良瀬遊水池です。初めて訪れるだだっ広い湿地で偶然この景色を見かけ、思わず立ち止まりました。

 カラマツでもメタセコイアでもないこの木は、一見、スイショウ(水松;中国原産)に見えました。手前はアシ原で近づけなかったので、はっきり確認しなかったのですが、今思い起こせばラクウショウ(落羽松;北米原産)だったかも知れません。スイショウにせよラクウショウにせよ、植物園や公園で時に見かけることはあっても、原野の中にまとまって植えられた林を見たのは初めてでした。(ちなみに左端の林はエノキ、その間にポツンとある木はアカメヤナギのようでした。)

 木とは不思議なもので、植物園のような狭い空間で単独的に見る木は「木」でしかないのに、広い自然の中で集団的に見る木は「景色」を構成します。地方ごと、国ごとに、そこにしか見られない特有の木があるわけで、私たちが何気なく見ている景色には、間違いなく木という要素が大きな影響を及ぼしています。だから僕はこの林を見たときに、初めての国に訪れたような異国情緒を感じました。


【今日見た主な樹木】
アカメヤナギ、カワヤナギ、タチヤナギ、コゴメヤナギ、ジャヤナギ、マグワ、エノキ、ヌルデ、イタチハギ、ハンノキ(植栽)、カロリナポプラ(植栽)、ラクウショウ?(植栽)