街森研究所

街や森で出会った木々や生き物、出来事などを紹介しています

ウシガエルとヒキガエルの異種合同冬眠!?

Y先生写真提供ありがとうございました


 東京都調布市の小学生と一緒に川の生き物観察をしてきた。観察場所は、都内の湧水を発端にする野川。都心を流れる川としては恐らく最も自然が残っている川で、今回の観察は昨年9月に続いて2回目となる。「春の野川にはどんな生き物がいるかな!?」というのがテーマだけど、正直、肌寒いこの気候はとても春とは思えない、冬だ。1時間前に野川に行って下見をしたけど、カエルの卵も見つからないし木々も芽吹いてない。何も観察できなければ土手に生えたノビル(山菜です)でも食うか・・・と思っていた。

 そして観察会開始。冬だというのに川に入る気満々の子どもたちに、「カエルの卵があるかも知れないから探してみ」と一応言っておいた。するとその10分後、一人の男の子が持ってきたのは、なんと冬眠中のカエルのかたまり! よく見ると、一番下に大きなウシガエル、その上にアズマヒキガエル2匹がしがみついてて、計3匹が団子状になっている。橋の下でこの団子を見つけ、「石と思って持ち上げようとしたら動いた」らしい(笑) 目を閉じて本当に眠ってるものだから、女の子もキャーキャー触り放題、いじり放題、しまいには水をかけて起こしてしまった。

 何はともあれ、冬眠中のカエルを見たのは初めて。しかも異種のカエルが一緒に冬眠していたから驚きだ。後で生物調査の専門家に写真を送って尋ねてみると、「この写真は生態学的に貴重です」とのコメント!(ヘビとカエルが一緒に冬眠している例も発見されたことがあるらしい。) 思いがけず、子どもたちに大きなプレゼントをもらってしまった。結局この日、アズマヒキガエルの卵、多分ニホンアカガエルの卵も見つかり、さらに産卵中のアズマヒキガエルのペアを捕まえてきた(!)子どもも現れ、大いに春らしい観察ができた。でも私が一番嬉しかったのは、元気あふれる子どもたちを観察できたことかも知れない。

【今日見た生き物】
アズマヒキガエルウシガエル、メダカ、スジエビ、イシビル、ミズムシ、ヒラタドロムシ、カワゲラ、トビケラ、モノアラガイ、ガガンボヘビトンボ△、オカトビムシ△、ハクセキレイダイサギカルガモツグミ

【今日の教訓】

  • 探し方を知らない子が多い。生き物名だけでなく探し方までしっかり教えるべし。
  • 生き物を見つけたら「とって」という子が多い。でも自分でとらせて体験させるべし。
  • 何も見つけられない子もいる。成果を最後に共有すべし。
  • 都会の自然はキャパが低い。生き物を持ち帰るか放すかをもっと考えさせるべし。
  • この寒いなか水着で川を泳いだ強者がいた。子どものパワーを侮るべからず。

生田緑地のドジョウに拍手

下:ホトケドジョウ、上:イモリ幼生


 最近、やたら水槽の中ばかり書くようになってしまった。それくらい、水槽ワールドは楽しい。

 先週末に川崎市北部にある生田緑地を訪れた。工業地帯のイメージが強い川崎市においても、北部は緑が比較的多く残っており、市内最大の公園といえる生田緑地には湧水や雑木林が健在である。我が家の水槽は、ここ1カ月ほど魚類が不在だったので、生田緑地の小川で魚を捕まえることにした。ショウブ園の脇の小川をのぞいてみると、いるいる、小さな小魚がピンピン泳いでいる。どうも普通のメダカとは違う雰囲気だが、まあよい、持って帰ってからじっくり観察してみればいい。ターゲットの魚をやさしく両手で隅に追い込み、さっとすくい上げる。その小魚2匹と、メダカらしき稚魚2匹を捕まえ、フィルムケースに入れて持ち帰った。

 水槽に投入したはいいが、この小魚、本当によく泳ぐ。よく観察してみると、口元に短いヒゲがちょびちょびあるではないか。ドジョウ!? ネットで調べてみると、やっぱしドジョウだった。それも、主に湧水にすむホトケドジョウのようだ。貴重なドジョウと聞いてたのだが、生田緑地にはこれがたくさんいた。さらにネットで調べてみると、どうやら生田緑地ではホトケドジョウの増殖活動が行われていることが分かった。となると、勝手に捕まえて持ち帰って良かったのかと少々不安になるが、生きもの採取を禁止する看板もなかったし、近くにいたファミリーもたくさん捕まえていた。

 近年、数少なくなった生きものを再生させる活動は各地で行われている一方で、そのためか「動植物の採取禁止」という看板を見かける機会も増えた。しかし、生田緑地の場合はホトケドジョウの増殖にも成功しているようだし、その採取も(多分)規制していないようだ。それが素晴らしいと私は思った。生きものは、捕まえたり、飼ったりしてこそ、その素晴らしさに気づくものであり、それを禁止してしまえば、自然の大切さを実感することすらできないってもんだ。その代わり、自由だからこそ節度が大事であり、捕まえすぎないこと、放す時は元の場所に放すことをしっかり守らなければならない、と思った。

(ちなみに植物の採取は厳禁と看板があった)

命の誕生と儚い一生

イモリの幼生


 我が家の水槽に、新しい生命が誕生した。というか、今月1日に秩父へ出かけた時に、河原の水たまりから持ち帰った卵がかえったのだ。

 その日河原を歩いていると、岩場のすき間の小さな水たまりに、お腹の大きなアカハライモリが1匹いるのを見つけた。よく見ると、両方の後ろ足で落ち葉を挟んでモゾモゾしている。つついてみたが、死んでいるかのように硬直している。これはもしやと思い、イモリが去った後にその落ち葉を見てみると、1〜2個の卵がついているのを発見したのだ。水たまりには他にも多数の卵があったので、4個の卵をフィルムケースに入れて失敬し、自宅の水槽に投入した。

 5日後、そのうち3個が孵化し、昨日、ようやく残りの1個も孵化、計4匹のイモリ幼生を確認した。初めの3匹は古い卵、最後の1匹は産卵を目撃した時の卵だったのだろう。オタマジャクシを見る機会は多いが、イモリの幼生を見たことある人は少ないと思う。僕もそうで、こうして間近に動きを観察したのは初めてだ。さかんにチョロチョロ泳ぎ回るオタマジャクシとは違い、日頃は底にごろんと寝転がっていて、時折、まるでドンコが泳ぐように素早く泳ぐ。同じ両生類なのにこんなに違うのか、という感じである。

 ところで、イモリの卵を持ち帰った時のフィルムケースに、1匹のボウフラも入れておいた。にっくきボウフラ!と言いたいところだが、私は小学校の自由研究でヒトスジシマカやユスリカの観察をしていたので、妙に愛着がある。ボウフラは日に日に成長して大きくなり、数日前に蛹になったのを確認していた。そして今朝、そのボウフラの抜け殻が見つかった。成虫になったのだ。そういえば朝方寝ている時に、窓を閉め切っていたはずなのに蚊が耳元に飛んできたのを思い出した。液体アースノーマットをつけていたので、「そのうち死ぬだろう」と無視していたのだが、それがこのボウフラだったのだ! まるで、育ててきた僕にお礼を言うかのように耳元に飛んできて、そして、美味しい血を吸う前に儚くも逝ってしまったのだ。

ヤゴ、行方不明になる

狭い屋外水槽


 27日午後、先日のメダカ事件で屋外水槽(ペットボトル製)に隔離されていたギンヤンマのヤゴが、行方不明になっていることがわかった。調べによると、ヤゴは23日にメダカ3匹を食べて以来、何もエサを与えられていなかったが、26日午後には水槽の水草上でくつろいでいるのが目撃されている(写真)。当研究所では、ヤゴが行方不明になった原因として、

  1. 自ら水槽をよじ登って脱走し(付近に水辺はないことから)周辺で死に絶えた.
  2. 羽化して飛び立った.
  3. ヒヨドリなどの野鳥に襲われた.

の3つの仮説をたて、水槽の周囲約1mを捜索したが、手掛かりは見つからなかった。抜け殻や死体も発見されなかったことから、ヒヨドリに持ち去られ捕食された可能性が高いとみて、同日夕方に捜索を打ち切った。現場付近は、スズメなどの野鳥を集めるためにご飯粒などがしばしば置かれており、時にヒヨドリが食べに来ることもあったという。1日で3匹もメダカを食べたどう猛なギンヤンマのヤゴは、こうしてあっさりとヒヨドリに食われたと思われる。あくまで推測ではあるが、食物連鎖の摂理を肌に感じる事件であった。

恐るべし! ギンヤンマのヤゴ

メダカを食うギンヤンマのヤゴ


 筒型の水槽でメダカを飼っていた。しかし、つい最近も1匹のメダカが死に、残り1匹になってしまった。かわいそうだから新しい仲間を買ってきてやろうと思い、ペットショップに足を運んだはいいが、何度も買っている黒メダカやヌマエビの類をまた買うのは何となくつまらない。かと言って、グッピーのような熱帯魚は飼えない。他に目新しい生き物はいないかと探していたら、「ギンヤンマのヤゴ 300円」と書かれた小さなタライが目に入った。のぞいてみると、5センチぐらいの大きなヤゴがいて、近く羽化もしそうな雰囲気だ。これは面白いかも、と思い、さっそく購入することにした。「メダカはやっぱり食われるかなぁ」と店員さんに聞いてみたら、「食べるよ」との答え。でも、冷凍赤虫を与えればメダカも全部は食われないだろう、と思い、冷凍赤虫と黒メダカ2匹を買って帰った。

 子供の頃よく田んぼでヤゴを捕まえたが、水槽で飼うのは初めてだ。ワクワクしながら家の水槽にヤゴを投入、続いてメダカを放流した。ヤゴはまるでメダカが放流されるのを待っているかのように、水槽上部の水草の上で待っていた。もしメダカを襲うことがあればその瞬間を観察したいなと思っていたら、さっそくヤゴがメダカを目で追っている。まさか、もう捕まえる気か!?と思ったら、いとも簡単に捕まえてしまった。生きたままのメダカをしっぽからムシャムシャ食べる様子は残酷そのものだが、これが自然界の姿だと思いつつ、食べ終わるまでの約5分間を観察しきった。それにしても、口の下部からびよーんと伸びる奇妙な下あごは、まるで口からもう一つの手が出てきたようで、エイリアンを想像せずにはいられない。

 1匹食えば、数日は何も食わなくても平気なのでは、と予想したのだが甘かった。食べ終わるや否や2匹目のメダカに目をつけ、何度かその奇妙なあごを伸ばして、またしても簡単に捕まえてしまった。結局、投入後数時間のうちに3匹のメダカをすべて捕食、1、2匹目は頭だけ残し、3匹目は上半身を食べ残した。メダカには申し訳ないことをしたが、メダカもメダカだ。ヤゴに対する警戒心が全くないらしく、1匹目のメダカが食われている時に他のメダカはそのすぐ横を悠然と泳ぎ回っている。しかし、こうした弱者メダカのおかげで池や田んぼの生態系は成り立っているのだ。ありがとう、メダカちゃん。そして、恐るべしギンヤンマのヤゴ! お前は1週間飯ぬきだ。