瀬戸内海の離島訪問;頭島&浮島
山口県の実家に帰ったときは、いつも近所のいろんな森を散策しているが、最近は瀬戸内海の離島めぐりにハマりそうだ。今回は瀬戸内海で3番目に大きな島・周防大島の北側にある頭島(かしらしま)と浮島(うかしま)に渡ってみた。両島は小さな橋でつながっており、端から端まで歩いて4〜5キロの大きさである。
連絡線で走ること15分、浮島の最初の集落に接岸して、船はその後2つの集落に接岸する。僕は最後の集落で降りた。港の前には数十軒の集落が立ち並び、民宿の看板や児童公園があって、草野球をする子供の姿も見えるなど、割とにぎやかな雰囲気だ。聞けば島の人口は200人ほど。小さいけど売店もあって、冬は主に釣り客、夏は海水浴客でにぎわうらしい。確かに澄んだ水の中層にはメバルの若魚がプカプカ漂っていて、つい潜りたくなる。こんな島にザックをしょって森歩きしに来る人は稀だろう。
島の売店であんぱんとソーセージを買って頭島に渡る。あんぱんとソーセージが好きな訳ではないけど、それくらいしか売っていないからであって、地方を訪れた時は地方でモノを調達する(偉そうな言い方をすればカネをおとす)のは基本と思っている。
島の山の大部分は案の定ミカン畑で、自然林が残っている箇所は少ない。それでもホルトノキやクスドイゲ、カンコノキなど、暖地特有の木を時折見つけながら歩いてると、目の前にイヌマキに似た細葉の高木が現れた。アカシアだ! オーストラリア原産、やせ地に強く成長が早いため、瀬戸内海の荒野でもかつて植林されたと聞いていたが、ここで出会えるとは思ってなかった。付近は階段状に削り取られた採石場跡地に見え、その緑化のために植えられたのだろう。
資源的に厳しい離島の暮らしと、かつての開拓を物語る荒野、今では慎重を要す外来種の植林、そうした島の歴史が感じられるこの場所に僕は腰を下ろし、あんぱんとソーセージをほおばると、意外とおいしかった。