街森研究所

街や森で出会った木々や生き物、出来事などを紹介しています

三重県で南方系樹木の北限地帯を見る

 夏の暑い盛りの7月31日、南方系樹木の北限自生地が多く見られる三重県を訪れて来ました。調べてみると、三重県内も南方系樹木が多いのは、志摩半島より南の尾鷲あたりのようなので、今回は尾鷲市とその北に接する紀北町をメインにまわってみました。1日だけの強行スケジュールでしたが、北限地帯の生育環境をいろいろ見ることができたので、以下に観察メモと注目種を記録します。



紀北町の豊浦神社を見下ろす入り江に到着。この青緑色の海が熊野灘の特徴なのでしょうか。同じような入り江がいくつも並ぶ地形が続きます。

【注目種】
タチバナ、バクチノキ、イチイガシ、ウドカズラ



続いて、同町の船越海岸の内陸側にある船越池。ここは海岸するそばの海跡湖で、こうした場所に自生する珍木・ハマナツメの大群生があります。写真左奥に見えるのがそうですが、ここのハマナツメは樹高5mを超えており、本当に大きくてびっくりです。

【注目種】
ハマナツメ花、カンコノキ、ハスノハカズラ花



さらに半島の先に向かった集落の外れにある島勝神社に到着。ここでは北限のビロードムラサキを探します。小さな社叢ですが、フラフラと歩いただけでは見つからず、裏手に回ってようやく見つけました。イヌビワなんかと交じって普通に生えていますが、ここではシカの食害が広がっているようです。

【注目種】
ビロードムラサキ花、ミサオノキ、センリョウ



さらに南下し、尾鷲市に入ります。九木崎に向かう途中で、八鬼山の山麓で道路沿いの木を観察。おや、アジサイのように見える花はノリウツギではありませんか。山地に多いノリウツギが海近くまで降りてきて、その下のカンザブロウノキと一緒に生えているのはなかなか新鮮でした。

【注目種】
オンツツジノリウツギカギカズラ、タマミズキ



原生的な照葉樹林が残るといわれる九木崎に到着。入り江の漁港横にある鳥居が、九鬼神社です。ここでは、北限地帯であるツゲモチの大木を見たほか、林内にこれまた北限地帯のミサオノキがかなり多数見られたことが驚きでした。テンダイウヤクの野生化もありました。

【注目種】
ツゲモチ、ミサオノキ、ナギ、ヒロハコンロンカ



紀伊半島を横断して大阪方面に帰る途中で、熊野市の矢ノ川沿いで少し木を見ました。写真は七色貯水池です。林業が盛んな地域なので、伐採跡地も見られますが、その脇の林には、そう簡単には出会えないシロバイやズイナが生えていたりします。ヤマグルマも標高150mあたりまで降りてきていました。

【注目種】
ヤマグルマ、ズイナ、カンザブロウノキ、シロバイ