街森研究所

街や森で出会った木々や生き物、出来事などを紹介しています

沖縄に引っ越しました

 2014年2月28日午後3時、僕たち一家は鹿児島港に到着した。8人乗りの愛車の中は、パソコン一式、布団、1週間分の衣類、米、それに妻と2歳の息子で満載状態。ここから、本土と沖縄を結ぶ唯一のカーフェリーであるマルエーフェリーに乗り、24時間の船旅を楽しむ。出港は18時だが、積載作業のため3時間前から港で待たねばならない。車のすぐ横では、何台ものフォークリフトが大きなコンテナを持ち上げ、次々と船に積み込んでゆく。離島で暮らす人々の元へ運ばれる、たくさんの食料、荷物、そして思い。この巨大な船が向かう先に、子どもの頃から夢見た南の島の暮らしが待っている。

 山口県の海のそばで育ち、海や魚が好きで、漠然と南の島に憧れていた。中学2年の夏、家族旅行で奄美大島を訪れて感動し、新婚旅行は南の島に来たいと思った(実際はハワイ)。二十歳の時、沖縄・伊江島にある友人のおばぁの家に一ヶ月間居候させてもらった。素潜りや魚釣り、サトウキビ畑の手伝いなどをしながら、沖縄の生活文化と温かい人柄、ちょっぴり寂しさを体感した。大学卒業後に沖縄でフリーター生活をする計画を立てたが、結局は断念。友人には「お前いつ沖縄行くんだよ?」と笑われたものだ。それ以来、何度か旅行で南西諸島に訪れたものの、移住はいつしか消えかけた夢になっていた。

 35歳で結婚したのを機に、流れが変わった。妻は那覇で約1年暮らした経験があり、南国好きで移住願望が強いので、いつか沖縄移住できればいいねと盛り上がる。となると、その年に生まれた息子が小学校に上がるまでが引越の最適期。移住の決断は勇気がいるけど、悩んでる暇はない。廿日市の不動産屋から教わった九星気学でも、南西の方角に引っ越すには2014年が最高の年と分かっていた。だから、沖縄での仕事に多少の目処がつくと、なるようになれで決断。僕は平穏で安泰な人生より、変化に富んだドキドキ・ワクワクの人生を選ぶ。

 引っ越し先は、利便性がよく、自然も都会も楽しめる沖縄本島の中部がベスト。工場や基地の影響が多い東海岸より、綺麗なビーチが多い西海岸がいい。そのエリアで認可保育園にすぐ入れそうなのは読谷村のみだった。ということで、もともとイメージのよかった読谷村に決定。引っ越し日は、仕事や保育園入園手続きの関係で2/27に決定。2/16に家探しのため4泊5日で沖縄に訪れ、帰宅後1週間で引っ越すハードスケジュールだ。家探しは、ANAのレンタカー付きツアーを利用し、家族3人で行った。僕たちが望む物件の条件は以下の通りだ。

  1. できれば3LDKの庭付き一戸建て
  2. 海が見える(妻の強い希望)
  3. 緑豊かでのどかな環境
  4. 家賃7万円以下
  5. バス停や保育園へのアクセスがよい

 妻は1年前からネットで沖縄の物件探しを始めていたけど、庭付き一戸建ては総じて高く(家賃10万クラス)、数も少なくなかなか見つからない。理想の一戸建てを見つけるためにアパート暮らしをする人も多いというから、条件1はよほど運がよくないと厳しいようだ。

 2月の沖縄は曇り空が多い(写真は物件探し中に現れた虹)。それでも晴れた日は半袖姿の人も多く、さすがは南国だ。到着した日からさっそく不動産屋を訪ね、チェックしていた物件を次々見てまわる。しかし、思ったより眺めが悪かったり、部屋のイメージが違ったりして、ピンと来ない物件ばかり。あまりに良い物件がないので、既に入居者が決定している絶景のアパートを参考までに見させてもらうことに。ここは妻が1年前から目をつけており、当初は第一希望だったものの、数日前に入居者が決まったという残念な物件だ。すると、海を見下ろす絶景が断トツで素晴らしく、あまりの美しさに妻が超凹んでしまった。見に来るべきではなかったか。仕方ないよ、となぐさめつつ、万が一キャンセルになったら電話をくれと不動産屋に伝えた。その日は、妻は悔しさのあまり物件探しをする気になれず、残波岬を散歩してホテルに戻った。

 翌日から気を取り直してまた物件探し。一戸建ても含め、合計15件ぐらい見てまわっただろうか。その結果、綺麗な海が目の前の古びたアパートを発見。海好きの妻はこのアパートに決めたいようだが、僕は正直気に入らず、生活のイメージがわかない・・・。そして決断の最終日。ここでドンデン返しがあった。妻もまだ迷いがあるようで、朝の移動中にオラクルカードをやってみた。オラクルカードとは、困った時に神の導きを教えてもらうカードで、タロットカードに近いイメージだ。すると、妻が引いたのは「今すぐあなたに奇跡が起こります」というカード。とっさに妻が携帯を見ると、不動産屋から着信履歴が! 掛け直してみると、なんとあの絶景アパートの契約がキャンセルになったというのだ。すぐにその物件を再び見に行き、その場で即決して契約にこぎ着けたのであった。

 いやぁ、すごい家探しだった。どうなることかと思ったけど、こんな経緯で巡りあった今のアパートに感謝。時々とんでもない奇跡を起こす妻らしい出来事であった。(実は引越後にもう一つ奇跡があった。このアパートに住む隣人が、僕の友人の仕事仲間だった。ビックリ!)

 帰宅後、大忙しで引っ越しの荷物整理。友人に挨拶まわりをする時間もほとんど取れず、両親の手を借りてなんとか荷作りをした。今回の引越を依頼する業者は、「引越のサカイ」と合い見積もりを取って、価格も内容も上回った「アリさんマークの引越社」。広島から福岡までトラックで運び、福岡からコンテナで船に移し、1週間後に沖縄の自宅まで運んでもらう行程だ。引越当日は、重たい本の箱を3つも重ねて運ぶアリさんマークの若者に驚愕したものだ。荷積みが終わったあと、僕らはドタバタの中、家族3人でマイカーのセレナに乗り、鹿児島へ向けて出発したのであった。

 参考までに、広島→沖縄への引越費用は以下の通り。実際はこれに加えて、引越時に処分し、引越後に買い足した家具類が10万円程度あるが、2ヶ月前から引越業者に予約したこともあり、思ったより安く済んだ。引越中に照明のガラスが割れるトラブルがあったが、業者が代用品を買ってくれた。ということで、アリさんマークは印象のいい引越会社だった。

項目 金額
物件探し旅費(大人2名4泊5日) 100,000円
引越業者(3tトラック) 250,000円
フェリー代(車+大人2人) 100,000円
高速道路・ガソリン代(広島→鹿児島) 20,000円
合計 470,000円


フェリーから見えてきた沖縄本島最北端の辺戸岬。