街森研究所

街や森で出会った木々や生き物、出来事などを紹介しています

表に出せない冒険家魂;秋田駒ヶ岳

荒野風景


ほぼ足を踏み入れたことがなかった秋田県に3日間訪れた。そのメインが秋田駒ヶ岳(1637m)である。約1300mの八合目までは車で登れ、あとは3時間ぐらいでグルッと山頂を回ってこれる比較的楽なコース。心配した通り、六〜七合目あたりで紅葉のピークは過ぎ、八合目からは冬の始まりを告げる寂しげな風景が広がっていた。さらに、八合目以上は雲がかかっており、近くに見えるはずの山頂・男女岳(おなめだけ)もほとんど見えない。まあ雨が降らないだけましか。

秋田の下調べをしていて気付いたことが、火山を強く意識させられる地域だということ。秋田駒ヶ岳にしても、近くの岩手山にしても、万が一噴火した場合の降灰予想マップみたいなのが作られている。「そんな山だったのか」と今さら気付いた訳だが、現地に行くとさらに火山を強く感じた。登山道には溶岩特有のスカスカした軽い石が多く、土の色は黒、赤、白、水色っぽい色などいろいろ変わる。もっとも、山頂の地形がカルデラそのものだし。

山頂付近にある避難小屋からの帰途は、カルデラの真ん中を突っ切る最短コースを選択してみた。道が小さそうだったので、避難小屋で居合わせたおっちゃんに「このコースは行けるかな?」と尋ねると、「谷を下るコースで少し険しい場所もあるけど、赤ペンキもついているし行ける」とのことだった。しかし、横に居た別のおっちゃんが「こんなガスの日にそんな危険なコースを教えちゃイカン!」と怒った。まあまあ、「危なそうだったら引き返します」と言ってその場を凌いだ。

内心、少しワクワクする気持ちはあった。山を甘く見るのは許されないことだけど、今回のコースは本格的に遭難するような場所ではないし、山に登るからにはスリルを求めるのが冒険家魂というものではなかろうか。危ないからダメ!というのであれば始めから山に登らなければいいのだ。コースの入口には「悪路危険」の看板があり、おっちゃんの警告を思い出しながら気を引き締めて歩く。そのコースの中で歩いた道、見た景色は、まるで仮面ライダーが最後に大敵と戦う場所のように白くて広い荒野風景で、強く印象に残った。ガスに囲まれていたため、尚更神秘的に映った。

【今日見た注目種】
イヌコリヤナギ、キャラボク、ミヤマネズ、マルバシモツケチングルマ、エゾツツジ、アカモノ、シラタマノキ、コケモモ、ミネズオウコメバツガザクラアオノツガザクラガンコウラン、イワウメ