街森研究所

街や森で出会った木々や生き物、出来事などを紹介しています

プチ田舎暮らしを始める心境

秦野新居の周辺環境


 明日、神奈川県の秦野市に引っ越す。現在住んでいる川崎市は、都心から約15kmだけど、今度移り住む秦野市は約60kmの距離だ。秦野市の人口は約16万人、中心部の標高は約100mの盆地状地形で、街のはずれにはのどかな田園地帯が広がり、目の前には1500m級の丹沢山地が連なる。つまり、冬は雪山を眺められる。

 「転勤ですか?」と必ず聞かれるけど、自宅が職場、週に1〜2回東京に出る私にとって「転勤」というものは存在しない。いや、仕事をするのにより良い環境を求めて引っ越すのだから、ある意味転勤かもしれない。とにかく、ある程度不便でもいいから、自然が多い場所で仕事や生活をしたかったのだ。

 本当は庭付きの貸家に住みたかったけど、なかなか理想の物件に出会えず、一人で住むというマイナス条件も重なって、結局は郊外アパートの2階に住むことになった。ま、その分眺めはいいし、すぐ隣には畑や斜面林が広がる静かな場所だから、悪くはない。近所で小さな畑でも借りて、ちょっとした菜園を作ろう。

 けれども、一人でプチ田舎暮らしを敢行するのはなかなか勇気がいるものだ。転勤ならまだしも、慣れ親しんだ友人や街を自ら進んで離れるのだから。今日、川崎・溝ノ口の街を歩いていると、少し寂しくなった。おれは本当にここを離れる必要があるのか、と。しかも、川崎の家(築20年の木造アパート、隣は畑が広がり、カキノキやシュロの木漏れ日が差し込む)は結構気に入っていたから、家自体に不満があって引っ越すわけではない。なぜ引っ越すかというと、

  • カブト虫がたまに飛んでくるような環境
  • 家からすぐ森や山に行ける環境
  • 庭に木を植えられる環境
  • 周辺の緑地がすぐに開発されない環境
  • 駐車場つきで車生活ができる環境
  • 雪山が見える環境

に住みたかったから。それに海も近い場所がいいから、埼玉県や東京の内陸は除外して、丹沢南麓エリアで探していたのである。上記条件を満たすには、必然的にある程度不便な場所にならざるを得ない
けど、利便性ばかり重視して都心の高層マンションに住みたがる都会人に比べれば、かしこい選択と思っている。とはいえ、自分はまだ東京に依存しながら仕事をしているので、東京直結の電車路線からは離れられなかった。今度の家は小田急線「秦野」駅から約2.5kmの位置、新宿までは電車で約70分だ。こうして見るとそんなに遠くないし、まだまだ通勤圏内(個人的には信じ難いが)。

 これからの秦野生活はある意味実験であり、ある意味修行みたいなもの。本当に東京から離れても仕事ができるのか、地域の人間関係に馴染めるのか、孤立しないのか・・・。自分は高校まではもっと田舎(山口県)に住んでいたけど、大人になってから田舎(秦野が田舎か否かはおいとく)に住むのは初めてで、意外と不安が多いものだと実感した。「住めば都」、移り住んでしまえば忘れてしまいそうなこの気持ちを、綴っておきたかった。