街森研究所

街や森で出会った木々や生き物、出来事などを紹介しています

バラ色の印税生活?

「印税で遊んで暮らせるんでしょ?」 年に1冊のペースで樹木図鑑を出版していると、そう羨ましがる人もいるが、現実は甘くない。売上100万部クラスの有名人と、自分のようなマニアックな本ばかり作っているのは訳が違う。 印税はよくて10%だから、定価1,000…

葉っぱ図鑑をつくる

大きくなったら何になりたい? と尋ねられても、答えに困った。子どもの頃から木が好きだったわけじゃない。好きだったのはむしろ魚や虫で、自宅の学習図鑑セットは、魚図鑑と昆虫図鑑はボロボロ、植物図鑑はピカピカだった。 高校で進路を決める時、「自然…

フリーライター

ときどきフリーターと間違えられるのだが、私の職業はフリーライター。専門は樹木で、これまで10冊の樹木図鑑を出版し、アウトドア雑誌や専門誌で記事を書いてきた。最近は「樹木図鑑作家」という偉そうな肩書きも使っているが、ライターにしろ作家にしろ、…

日本最西端の2000m峰・白山の植生を見る

今年はまだ高山に登っていなかったので、前から興味のあった石川・岐阜県境の白山(はくさん・標高2702m)に登ることにした。白山といえば、日本最西端の2000m峰で、花が豊かな百名山として知られ、多くの高山植物の西限地帯になっている。日本アルプスから…

灯籠流しで出会った青い光

山口県光市の拙宅前に広がる入り江、御手洗湾(みたらいわん)に面した普賢寺では、毎年この季節にご先祖様の魂を送る灯籠(とうろう)流しが行われている。この場所に住んで2年目、灯籠流しを見るのも2回目だ。昨年は風が強く、灯籠が思うように海原へ広…

群馬の奇岩・妙義山に登る

すごい岩山、というイメージがある群馬県南西部の妙義山(みょうぎさん・1104m)に訪れた。赤城山、榛名山(はるなさん)とともに、群馬では上毛(じょうもう)三山として知られる山だ。車や電車の窓からもその姿はよく目立つが、ネットで下調べをしても植…

秋の石鎚山と面河渓の樹木観察ツアーはいかが?

季節外れの写真を載せますが、これは昨年10月23日に四国の石鎚山(いしづちやま)、面河渓(おもごけい)、しまなみ海道を訪れたときの写真です。ここを訪れた理由は、今年の10月18日から3日間、当地で樹木観察ツアーの講師を務める予定だからです。主催は、…

広島で個展『葉っぱスキャンワールド』開催中

準備や宣伝が遅れてドタバタでしたが、広島市植物公園にて5月28日から6月9日までの2週間、私がこれまでスキャンしてきた植物スキャン画像の展覧会『葉っぱスキャンワールド 〜スキャンされた植物が魅せる癒しのアート』を開催しています(詳しい紹介はこちら…

一度は見たかった秋吉台の山焼き

新燃岳噴火!? 山火事!? いえいえ、これは日本最大級のカルスト台地として知られる、山口県美祢(みね)市の秋吉台(あきよしだい)の風物詩です。カルスト台地というと、緑の草原に白い石灰岩がたくさん突き出た風景がイメージされますが、この風景は「山焼…

中四国・冬の低山巡り

真冬の瀬戸内海は水温が外海以上にしっかり下がり、浅場では魚がめっきり釣れなくなることが分かったので、釣りはしばらくお預けです。という訳で(はありませんが)、冬は森に行きましょう。今冬に訪れた低山の記録をつけておきます。 鯛ノ峰(山口県周防大…

チヌの神様、舞い降りる

チヌ、標準和名でいうクロダイといえば、陸釣りで狙う大物魚の定番で、小学生の頃から憧れていた魚だ。20cm級のチヌなら、アジ狙いのサビキ仕掛け(エビなどに似せた擬餌針を多数垂らして釣る方法)でも時々釣れるけど、40cm級となると夢の世界だった。 1月6…

不思議なヒヨドリの渡りとアカツクシガモ飛来

ヒーヨ、ヒーヨ、ヒーヨ・・・ 海を見渡せるベランダで朝食を食べていると、上空から聞き慣れた声が聞こえてくる。暖を求めて南方に渡るヒヨドリの群れだ。その数、ふつう200羽、大きな群れでは600羽におよぶ。9月下旬から10月下旬にかけては、荒天日を除い…

山口の海に戻ってきた

長らくブログが止まっていた間に、海がよく見える新居に引っ越した。といっても、海が少し見える実家から、車で10分しか離れていない場所だ。仕事場は実家にそのまま残してあるから、海を見ながら10分の通勤をする日々。無駄なことをしているようだが、もう…

久しぶりの休日に広島・日浦山で快適ハイク

今日は予定していた熊本での観察会が雨で中止になり、久しぶりにできた休日。まだ雨は降りそうにないし、せっかくなら近場の山に行こうと思い、広島訪問のついでに、広島市の東隣にある海田町の日浦山(ひのうらやま・349m)に登ることにした。広島市内での…

銀世界へ行ってみたいと思いませんか;恐羅漢山

冬芽観察と雪山登山をしたくて、2月20日に広島県と島根県の最高峰である恐羅漢山(おそらかんざん・1346m)に登ってきた。恐羅漢といえば、中国地方ではスキー場としてよく知られている。中国地方西部では、島根県邑南町(おおなんちょう)の瑞穂ハイランド…

神戸で須磨アルプスと阪神大震災を体感する

東京出張に行く途中の2月2日、恒例の途中下車の森歩きで、以前から関心のあった須磨アルプスを訪ねてみた。神戸市須磨区の市街地背後に連なる標高約200〜300mの低山(東山〜横尾山〜鉢伏山一帯)で、岩肌が露出した「馬の背」が人気のハイキングコースだ。…

充実の収穫! 自然の恵みと営みを実感した秋

2009年、初めて挑戦した完全無農薬・有機栽培の米づくりを、<春編><夏編>に続いて<秋編>にまとめました。 例年になく涼しかった8月が過ぎ、出穂から43日が経過した9月23日。重たく熟した稲穂の頭(こうべ)がたれ、いよいよ稲刈りの時期を迎えました…

黒米育つ! 無農薬田んぼに現れた生き物たち

8月末からブログが止まったままでしたが、久しぶりに復活です。この間ももちろん田んぼ作業は続いてたわけで、試行錯誤しながらも無事豊作を迎えることができました。その過程の記録として、遅ればせながら<春編>に続いて<夏編>をレポートします。 上写…

山口県一のダイビングスポット;青海島

年に一度ぐらいスキューバダイビングをしたい! ということで、山口県内で最もダイバーに人気という青海島(おうみしま)の船越海岸に行ってきた。洋上アルプスと形容される切り立った岩と、日本海の澄んだ海が美しいポイントである。海岸の入口は小さな浜が…

馬島→佐合島の遠泳で溺れる者の心理を知る

遠泳のスタート地点・馬島 地元の遠泳大会に参加してみた。山口県田布施町(たぶせちょう)麻里府(まりふ)の馬島(うましま)から、隣の平生町(ひらおちょう)佐合島(さごうじま)まで2.8kmを往復しようという小さなイベントである。遠泳に参加するのは…

田んぼを作る!休耕田が潤うまで

友人の紹介で4月に借りた田んぼ。農家の方に教えてもらったことに自分の考えを織り交ぜ、連日通いながら手を加えた休耕田は、見事に瑞々しい水田へと生まれ変わりました。5枚ある田んぼのうち、写真左側の田植えが完了している所が僕が担当する町(まち)…

六甲山で久しぶりの山登り

関東出張からの帰り道、天気もいいことだし、どこかの山に立ち寄ろうと思い、いつか行こうと思っていた兵庫県の六甲山に登ることにした。六甲山といえば神戸の背後にそびえるシンボル。新幹線の新神戸駅から登山口が直結しているので、途中下車の登山に最適…

山口県にUターンしました

少し前の4月10日、約4年住んだ神奈川県秦野市(はだのし)のアパートを引き払い、山口県田布施町(たぶせちょう)の実家にUターンしました。山口県に住むのは高校生のとき以来15年ぶり。大人になって住むのは実質初めてなので、ゴミの出し方から、自治会の…

日本一の乾燥地帯;播磨アルプス縦走

アプルスと名のつくローカルな山々に興味を持っている。今回は、旅の途中に通りがかった、兵庫県高砂市の高御位山(たかみくらやま:304m)を主峰とする通称「播磨アルプス」を縦走してきた。瀬戸内海東部の沿岸は、日本随一の少雨・乾燥地帯で、新幹線の車…

エネルギー盛りだくさんの佐田岬半島

「鬼は〜外」の2月3日と4日、愛媛県の佐田岬半島に出かけてきました。今回は、私の地元・山口県から最も近い原子力発電所、伊方(いかた)原発を訪ねるという目的があります。天気がよい時は山口県南東部から肉眼で見える原発で、山口県に計画中の上関(…

シーカヤックで昔夢見た海を歩く

子供の頃から眺めてきた海、遊んできた海、食べ物を恵んでくれてきた海。そんな見慣れたはずの瀬戸内海・周防灘(すおうなだ)が、初めての海に見えた。知らない世界に見えた。 島と島がこんなに近くて、この場所はこんなに浅かったこと。冬は水がとても澄ん…

潰瘍性大腸炎と食生活の一考察

以前、現代若者の難病・潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)を患うまでの経緯を書きましたが、今回はその食生活についてメモしておきます。潰瘍性大腸炎の直接の原因や治療法は解明されていませんが、僕は昔から間違った食習慣を続けてきた心当たり…

地震地帯;浜岡原発に見る光と陰

今回は、我が家から最も近い原子力発電所を見学してきた。その距離約130km、静岡県御前崎市の浜岡原子力発電所である。浜岡原発では敷地内への一般者の見学は受け付けておらず、ここでもやはり「テロ対策」。とにかく情報を隠すことが大切な世の中のようだ。…

我が家の電源;新潟県・柏崎刈羽原発を訪ねる

あなたの家の電気は、どこの発電所から送られて来てますか? そんなの考えたことない。知りたいと思ったこともない。知らせようともされていないし、知ることができない仕組みになっている。・・・これが今の日本の、電力業界の実情です。私はこれに大きな疑…

難病;潰瘍性大腸炎を患うまで

今年初め、私は潰瘍(かいよう)性大腸炎と診断されました。食の欧米化やストレスが原因といわれる難病で、日本では1980年代以降、20〜30代の若者を中心に年々増えており、患者数は10万人以上にのぼります。症状は、長期の下痢とそれに伴う出血や膿が特徴で…